金田真議員の2000年度決算に対する討論

日本共産党県会議員団を代表して、平成十二年度決算認定について、議案第一一七号と第一一八号に反対の立場から討論をおこないます。

 西口前知事が、二〇〇〇年度(平成十二年度)の当初予算提案の際、私ども日本共産党は、日本経済の落ち込みは依然として厳しく、政府の長年にわたるゼネコン救済型経済対策は一向に功を奏さない状況にあって、二十一世紀を展望し、景気対策と財政再建を掲げて編成されたかを問いました。そして、県民の切なる要望に応えた幾つかの前進的事業も認められるとした上で、不要不急の大型公共投資による景気対策という路線を漫然と踏襲する県予算であり、財政再建のためにも、景気対策のためにも、このような公共事業を思い切って見直し、県民が切望する生活密着型の事業への転換や福祉行政の重点化こそが庶民の懐を暖め、景気浮揚につながるものと指摘しました。また、同和地区をとりまく状況は、住環境をはじめ大きく前進しており、真の国民融合を地域に根付かせる事が求められているのに、逆に県の同和特別対策の予算の多くは、同和の垣根を高くするものであるなどの理由から反対しました。

 その後、木村知事に代わり、私どもが、県民的な論議の不足や、経営への不安から凍結を求めていた和歌山工科大学整備事業や自然破壊の無駄な公共事業の一つとして反対していた雑賀崎の埋め立ての調査費の凍結・見直しを英断するなど、新しい風を吹き込んだことを評価するものですが、その基本路線は西口知事の路線を踏襲するものでした。

 さて、公営事業会計ですが、観光レクリエーション事業は、以前から砂利採取による収益を見込めない事や上水道の水源近くで農薬の使用を前提としたゴルフ場建設は中止すべきと一貫して反対してきました。今回、事業廃止を検討している事が明らかになり、事業自体が誤った計画であったことが証明された訳で、当然認定できるものではありません。

 工業用水道事業については、以前から反対の理由にしていた、国からも是正を指導されている海南市の上水道としての利用のあり方について、十四年度に移管することは評価するものですが、長年解決されなかった事は問題であり、料金についても検討が求められます。

 土地造成事業については、以前から売却見通しのない土地造成が進められ県民への負担となっていると指摘しました。十二年度は和歌山下津港西浜地区の約二十二万平方メートルを処分しましたが、売却額に比べ土地売却原価が高かったため、平方メートル当たり約五千円の原価割れをおこし、営業利益は二億七千万円の損失となっており、その責任は重大です。

 駐車場事業についても、抜本的な見直し・検討が必要です。

 次に、一般会計、特別会計についてです。そもそも、決算の認定の一つに、収入が適正に確保されたか、審査が求められます。

 例えば、教育委員会関係の進学奨励金では、調定額三億三千四百万円に対して収入済み額は一億三千四百万円で、償還率は四〇%程度で年々低下の状況です。また、中小企業振興資金特別会計でも、収入未済額が七十八億円と前年度に比べ二億七千万円増えており、調定額に対し収入済額が約三七%と異常に低い状況で、年々悪化しています。原則として借りたものは返すのは当然で、これでは、収入の適正な確保とはいえません。

 県の財産管理についても、外部監査の指摘のように、県有財産が土地だけでも百八十四件も未利用であり、その財産管理のあり方が問われます。

 そして全体に、不急不要の公共事業予算を盛り込んであること、また県営事業に対する市町村負担金の軽減を求める立場からも反対です。

 人権啓発でも、同和関係が他の人権問題より突出して扱われている点が随所にあり、このような人権教育、啓発は本来の姿ではありません。特に、教育委員会関係では、同和に関係する子どもの状況調査が客観的な判断基準もなく、肝心の子どもや保護者の同意がないまま調査するこの姿勢は、差別解消に逆行するものです。同和の垣根をなくすためには、同和行政を早期に終結させることが必要との立場から、認められません。

 以上のような理由により、議案第一一七号、第一一八号については反対するものです。